今年はカルト宗教が下半期、政治を揺るがす大きな問題となった。「カルト宗教にハマると大変だな……」と他人事と思いがちだが、実は身近に、似たような種はたくさん広がっている。

例えば、生理や更年期などの女性の健康課題にテクノロジーを導入し解決していこうという「フェムテック」。本来は女性のライフスタイルをより良いものにしていこうという前向きな取り組みだが、一部ブームに便乗し、よくわからない腟トレや「子宮を温める」「子宮の声を聴く」といった科学的根拠がない子宮や腟を謳う怪しいビジネスを展開しているケースも……。

新型コロナウイルスのワクチンや治療薬に関しても、エビデンスが不確かな情報がネットで溢れ、知らぬ間にハマっている人はすくなくない。

そういったカルト問題に着目し、取材を続けているWebライターの黒猫ドラネコさんが、長い間追い続ける「子宮系カルト」を題材とした作品が話題を集めている。原作黒猫ドラネコさん、真枝マキさん脚本、田丸いくさん作画のLINEマンガ『妻が子宮カルトに沼りました』だ。

決して特別ではないありがちな理由で子宮カルトにハマっていく女性の姿が描かれるこの作品。制作への想いを黒猫ドラネコさん自身に寄稿いただいた。

 

漫画「妻が子宮カルトに沼りました」で届けたいもの

何かにすがりたい人をハメ込む甘い言葉や手法、その裏で蠢(うごめ)くもの、それに直面した家族や周囲の苦悩……。

図らずもカルト宗教が連日メディアを騒がせているこの機会に、ぜひ同種の社会問題として考えて欲しいと思いながら作品を書いています。

黒猫ドラネコと申します。2022年9月からLINEマンガでスタートした『妻が子宮カルトに沼りました』の原作者です。初めての漫画連載に予想を超える反響があり、こうやって取り上げていただけて本当にありがたい限りです。特に漫画のコメント欄が想像以上に盛り上がっていて、子宮系カルトの現状を知っている人が読んで「あるある」、存在を知らなかった人の「実際にあるの?」という反応が嬉しいですね。

子宮系カルトについて、私が数々のトンデモ案件について観察し、Twitterで注意喚起などの発信を始めてから5年が経ちました。作品でも登場させたような高額セミナーに誘導したり、大規模イベントを開催したりする妙な界隈が、全盛期を過ぎた感はありますが、数年前からネット上に溢れていました。

原作のnote小説『子宮の詩が聴こえない』では、そんなスピリチュアル・ビジネスにハマることの恐怖や、その裏側を書きました。それが漫画として絵で動くとなると、主人公のまさみ、その夫の誠二、そしてヨニ姫アキナをはじめとした悪役達の表情が実によくて、喜怒哀楽の「変顔」の見本市になっています。ノリのいい制作陣に恵まれました。原作にない細かな描写や漫画的要素も大幅に加え、手前味噌ながら良いエンタメに仕上がっています。

実はもう物語はクライマックスを迎えています。来春に迎える予定のラストシーンまでにどんな展開が待っているのか。深刻に感じるだけでなく、作品自体を楽しみながら見守っていただけたらと思います。

黒猫ドラネコ(原作)、真枝アキ(脚本)、田丸いく(作画)『妻が子宮カルトに沼りました』/LINEマンガ