さまざまな話題を呼び、幕を閉じた2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。ドラマの盛り上がりとともに聖地巡礼的に史跡を訪ねるファンが予想以上に増えたことでも注目を集めた。本拠地の鎌倉のみならず、北条時政、義時らの故郷である伊豆(伊豆の国市)をはじめ、劇中で人気だった佐藤浩市演じた上総介広常の横浜市金沢区、山本耕史演じた三浦義村の三浦市、そして中川大志演じた畠山重忠の埼玉県深谷市と、脇を固める人物たちの墓所や名所に多くの人が詰めかけ、この正月休みも「鎌倉殿ロス」の人たちが名所を訪れることが予想されている。
となると、気になるのは来年の大河ドラマである。2023年の大河ドラマは『どうする家康』。主人公は、あの徳川家康。さらに、演じるは大河初出演で初主演の松本潤。話題性としては申し分ない。
とはいえ、家康公ゆかりの地、といえば、江戸城、駿府城、浜松城、日光東照宮……などすでに超有名な観光地ばかりだ(江戸城の一部は皇居なので、観光できません。念のため)。正直、新鮮な驚きはイマイチ!? しかし、今回の大河は若かりし時代の家康がメインで、重要なゆかりの場所として注目がされているのが、「愛知県岡崎市」だ。『どうする、家康』開始前に、聖地巡礼ポイントも含めて取材した。
岡崎の人々の誇りであり魂である家康公
岡崎市は愛知県の東半部を占める三河地方にあり、江戸時代に5万石の城下町として栄えた東海道五十三次の宿場のひとつ。名所・岡崎城は、家康公が生まれて6歳までを過ごした場所だ。その後、家康は人質として織田家や今川家に送られて少年期を過ごすが、1560年、桶狭間の戦いで今川義元が織田信長に敗れると再び岡崎城へ帰還する。そして、静岡県の浜松城に本拠地を移すまでの間、17歳から27歳の約10年間を岡崎で過ごした。
若き日の家康公の足跡をたどれる場所がありそうだと思って調べてみると『家康公ゆかりのスポットを巡り、岡崎の文化や暮らしに触れるツアー』なるものがあることを発見。ドラマが始まるよりもひと足お先に家康公のふるさとを訪ねてみることにした。
スタートは名鉄「東岡崎駅」東口からすぐの「徳川家康公像」。高さ9.5m の巨大な家康公の騎馬像だ。騎馬像としては日本最大級で、松平から徳川姓になった25歳当時の家康公の姿をモチーフにしている。大空をバックに弓を構える姿はとても凛々しく、力強い。ドラマで家康公を演じる松潤も、こんな風に颯爽と馬に乗るシーンがあるのだろうか、と思わず想像してみる。

家康公の像から周辺を見渡すと、北側に広くゆったりとした川が流れている。これは乙川。毎年春には岡崎市のメインイベント「家康行列」があり、家康公の武士団やお姫様に扮装した約700 人が市内を練り歩いたのち、クライマックスにこの乙川の河川敷に到達する。そこから模擬合戦がスタートして、火縄銃を使った鉄砲隊や槍隊が合戦を演じ、武士や少年少女が演舞を舞って、絢爛豪華なフィナーレになるのだとか。
