2022.12.28

マッチングアプリで「好みでない人のタイプ」を書くのは差別か? 最先端の哲学の議論から考える

最先端の哲学の議論を用いて身近な物事について考える——。

そんなスタイルの哲学入門書『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(総合法令出版)が刊行されました。

たとえば、マッチングアプリに「嫌いなタイプ」を書き込むことは差別にあたるのでしょうか?

大阪大学特任助教の長門裕介さんが倫理学や哲学の議論を参照しつつ考えます(本記事は同書の一部を抜粋、編集したものです)。

マッチングアプリでの人種差別

近年、Tinder(ティンダー)やPairs(ペアーズ)といったマッチングアプリの利用者が日本でも急激に増加していると言われています。この傾向は世界的なもので、すでにアメリカでは18~29歳の48%がマッチングアプリを利用した経験があるという調査もあります。

マッチングアプリを巡る問題の中でよく議論されるのは、人種差別を巡る倫理的問題です。残念なことに、世界の各地ではいまだに様々な差別がありますが、人種差別はその中でも非常に根深いもののひとつです。これまでにも多くの哲学者が人種差別の形態やその道徳な悪さを議論してきました。しかし、なぜマッチングアプリにおける人種差別が特別に議論されるのでしょうか。

難しいのは「どんな人とデートしたいか」を決める場であるマッチングアプリは一見したところ「単に好みの問題」であるように思えることです。