2022.12.27

黒田日銀総裁の「利上げじゃない」発言…「黒を白」と言いくるめる‟往生際の悪さ“で覆い隠された、利上げの‟中身と副作用”

「金融引き締めではまったくない」

日銀は先週火曜日(12月20日)、長期金利の許容変動幅をこれまでの0%プラスマイナス「0.25%」から同「0.5%」に拡大すると発表した。

市場の圧力に屈して、長期金利の上昇圧力を抑え切れず、ついに実質的な利上げに踏み切ったのだ。世界的に急ピッチで金融引き締めが続く中での対応として遅すぎたきらいはあるものの、妥当と言ってよい判断だろう。

しかし、当の日銀の黒田総裁が記者会見の席上、今回の措置について「利上げではない。金融引き締めではまったくない」と言い張ったことは問題だろう。

photo by gettyimages

今回の措置はあまりにも唐突でサプライズとされているが、あわせて、黒田総裁の言動も「往生際が悪い」「意固地だ」と大きなサプライズをもって受け止められたのも、また事実なのである。今週は、そのことをしっかりと記録しておきたい。

まずは、黒田氏の総裁としての足跡を振り返っておこう。黒田氏は2013年3月に、日銀総裁に就任。長年のデフレ経済からの脱却を目指して大規模な金融緩和を続けてきた。その金融緩和策がここへきて限界に直面、副作用の方が目立っていた。

その第一は、何と言っても、一時1ドル=150円台まで進み、ほぼこの一年にわたって猛威を振るった円安だ。FRB(アメリカ連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行など世界の中央銀行が折からのインフレに対抗するために急ピッチな金融引き締めに転じる中で、唯一、日銀だけが大規模な金融緩和を頑なに維持したことが原因だ。

その結果、ほくそ笑んでいたのは、一部の大手輸出企業だけだった。庶民のほか、価格転嫁を思うようにできない中小企業と内需型の企業は、ロシア軍のウクライナ侵攻が拍車をかけた天然資源や穀物の国際相場の高騰に、急速な円安が加わり、輸入物価の急騰に困窮してきた。

 

経済学では、自国の通貨を実力より安めに誘導して輸出を伸ばす政策を「近隣窮乏化政策」と呼ぶ。1929年に勃発した大恐慌に対し、日本が採用し、いち早く経済を立て直したため、諸外国の反感を買い、第2次世界大戦の一因になったことでも、よく知られている政策だ。ところが、今回は、近年の製造業の拠点の海外移転が響き、あまりにも円安を享受できる企業が減っていた。このため、日銀の金融緩和策を、円安の弊害がメリットを上回る「自国窮乏化政策」と、皮肉るエコノミストもいた。

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