2021年のワインの総販売量は、ボトル数にすると、5億5900万本。日本の国産ワイン約2200万本と規模が異なるフランス・ボルドー。規模が大きいのみならず、実はその75%がサステナブル認証を受けているのだという。
ワインをこよなく愛するライターの長谷川あやさんがボルドーのシャトーを旅する前編では、ボルドーの歴史と、若き夫妻が7年前から大きく製法をサステナブルに変更したシャトーの挑戦をご紹介した。後編では創業100周年のシャトーをはじめ、さらにサステナブルにすることが当然となっている現代に挑む4つのシャトーをご紹介する。
創業100周年!すべてのワインがオーガニック認証
サン・テミリオン地区にある「シャトー・フラン・ボードロン」は、2023年に創業100周年を迎えるシャトーだ。サン・テミリオン地区に32ヘクタール、ボルドーに10ヘクタールの畑を有し、そこで作られるすべてのワインがオーガニック認証を取っている。現在、同シャトーを切り盛りするのは、若き夫婦、ソフィ&シャルル・フォレさん。2人ともボルドー大学醸造学部でワインづくりを、アルザスでビオディナミ(有機自然農法)を学んだ後はローヌ地方でワイン業に従事。その後、2010年に故郷のボルドーへと戻ってきた。同シャトーは、ソフィさんの両親の時代から減農薬農法に取り組んでいたが、2人の代になって、その取り組みは一気に加速した。

たとえば、約10頭の羊を飼育し、一部の畑で、彼らの雑草を食べさせる農法を採用。ぶどう畑の片隅ではバラも植えている。繊細なバラはぶどうの樹よりも先に病気にかかるため、生産者に病気のリスクを教えてくれることもあり、ぶどうと共に、バラを育てている生産者も少なくないそうだ。

「友だちとピザを食べる時などに気軽に飲んでほしい」とソフィさんがおすすめしてくれた、メルロ100%をステンレスタンクで醸造した「RECTO2019」は、彼女の言うように、気軽なシチュエーションでいただきたい、いちごとグリーンペッパーの香りがフレッシュな、チャーミングなワインだった。
