2022.12.31

「残響散歌」「ミックスナッツ」「新時代」…ヒット曲から見る「2022年音楽シーン」の「2つの特徴」

2022年のヒットチャートを読む

2022年は、どんな歌が世を賑わせたのか?

どんな時代も、ヒット曲からは社会の様子や人々の心のありさまが浮かび上がってくる。そして、音楽市場の重心がCDからストリーミングサービスへと移行したここ数年は、ヒットチャートが“流行歌”の指標としてきちんと機能するようになってきている。

Billboard JAPANが発表する年間総合ソングチャート「Billboard Japan Hot 100」(集計期間2021年11月29日~2022年11月27日)のTOP10は、以下のような並びだ。

1位 Aimer「残響散歌」
2位 Tani Yuuki「W/X/Y」
3位 優里「ベテルギウス」
4位 Official髭男dism「ミックスナッツ」
5位 優里「ドライフラワー」
6位 Saucy Dog「シンデレラボーイ」
7位 Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」
8位 マカロニえんぴつ「なんでもないよ、」
9位 back number「水平線」
10位 King Gnu「一途」

ここから見えてくるポイントはいくつかある。まず言えるのは、2022年はアニメ主題歌から沢山のヒット曲が生まれた1年だったということ。

総合ソングチャートの1位は、NHK紅白歌合戦への初出場も決まったAimerの「残響散歌」。テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニングテーマに起用された1曲だ。鮮烈な曲調と深みのあるハスキーボイスが魅力のこの曲はアニメの放送終了後も長く支持を集め、今年を代表するヒットソングとなった。

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興行収入180億円を超え今年最大のヒット映画となった劇場版アニメ『ONE PIECE FILM RED』で主人公・ウタの歌唱を担当したAdoも、まさに2022年の“顔”と言っていい活躍を見せてくれた。社会現象的なヒットとなったデビュー曲「うっせぇわ」を収録した1stアルバム『狂言』のリリースに続き、夏にはさいたまスーパーアリーナでのライブも実現。さらには『ONE PIECE FILM RED』の主題歌「新時代」に加えて挿入歌の数々もヒットし、Billboard JAPANの年間総合アーティストチャートでは首位を獲得した。紅白では「ウタ」として「新時代」を歌う予定。アニメキャラクターとしては番組史上初の出場となる。

他にもアニメ関連のヒット曲は多い。総合4位のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」は『SPY×FAMILY』オープニング主題歌、総合10位のKing Gnu「一途」は『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌だ。

また、10月リリースのため年間チャートには入ってこなかったが、『チェンソーマン』オープニングテーマの米津玄師「KICK BACK」も下半期を代表するヒットソングになっている。他にも『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニングテーマのYOASOBI「祝福」や、公開4週で興行収入が50億円を突破し大きな評判を呼んでいる『THE FIRST SLUM DANK』エンディング主題歌の10-FEET「第ゼロ感」もスマッシュヒットしている。

こうしたチャート状況からは、アニメがいまや日本のエンタメの中心となり、その主題歌が幅広い世代に聴かれるヒット曲となっていることが見て取れる。

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