日本の「安保3文書改定」「敵基地攻撃能力明記」を韓国メディアはどう報じたか

尹錫悦政権に吹き荒ぶ新たな逆風
金 敬哲 プロフィール

「この国の保守は死んだのか」

『韓国日報』は、米日韓協力という外交基調を明確にしてきた尹錫悦政権が、日本に不意打ちを食らった格好だと主張した。

「日本が16日、3大安保文書を改定し、『反撃能力保有』を明らかにしたことは、韓半島と東アジア地域に緊張を吹き込んでいる。1世紀前、日帝の覇権追求で植民地経験をした韓国としては、警戒の声を高めてもおかしくないが、政府の反応は生ぬるい」

「朴振(パク・ジン)外交部長官は、安保文書改正前日の対応策を問う質問に、“日本が韓国に内容を説明する”と答えたが、その言葉は、日本は韓国に最も敏感な事案さえ事前に協議できなかったことを自認したものかもしれない」

「政府が韓米日協力に力を入れている中で、日本の一方通行が韓国に不意打ちを食らったような裏切り感を与える一方、自分の主張だけを繰り返す中国の歩みは予想された苦味を抱かせる。尹錫悦政府が発足前に外交安保政策の基調を明確にしたのは、『韓米日対北中ロ』構図の深化という対外環境に対応するためだったが、タイミングが早すぎて鮮明度も度が過ぎたのではないか振り返ってみる時だ」
(<自分のカードを見せてしまった外交の難しさ>12月21日付記事)

 

『ハンギョレ』は、政権はもちろん保守メディアまで日本の安保文書改定に生ぬるい反応で一貫していることに対して、「この国の保守は死んだのか」と憤った。

「保守の土台は愛国心と領土守護だ。韓国の憲法3条は領土を“韓半島とその附属図書”と規定している。日本が韓国の同意なしに北朝鮮を先制攻撃すれば、韓国領土を侵犯することになる。日本の反撃能力行使は、韓国憲法の領土主権と衝突する」

「大統領室は日本の反撃能力に対する憂慮を韓日米安保協力の枠組みの中で解決するという方針だが、米国の仲裁・調整の可能性に大きな期待をすることは難しい。米国と日本は韓国と違って、北朝鮮を韓国領土と認めていないためだ」

「国民の力など保守政党と保守メディアは普段“大韓民国は韓半島の唯一の合法政府”とし、“北朝鮮の土地も韓国の領土”と主張してきた。日本の反撃能力行使は、この主張と正面から衝突することになる。それでも保守政党と保守メディアは日本の反撃能力に『奇異な沈黙』で一貫している。“この国の保守は死んでしまったのか”という疑問が生じるほどだ」
(<日本、韓半島への先制攻撃が可能になったが…この国の『保守』は死んだのか> 12月21日付記事)

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