「彼女抜きでは短期成立は難しかった」《旧統一教会被害者救済新法》が成立! 新井ゆたか消費庁長官の奔走
被害者救済への新たな光
岸田政権が命運を賭けた、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)被害者救済新法が臨時国会で成立した。陰の立て役者が、'22年7月に就任した新井ゆたか消費者庁長官だ。
新井氏は'87年に農林水産省に入り、同省では女性初の局長や次官級の農水審議官を歴任。豚熱を抑え込むため、農政関係者が躊躇していた豚へのワクチン接種を実現するなどの実績を挙げた。
野党が独自の救済法案を提出した当初、公明党に配慮する自民党の茂木敏充幹事長は消極的だった。だが、岸田首相が臨時国会での成立を目指すと11月に表明し、局面が変わった。首相の命を受けた新井氏は政権幹部との調整に奔走、国会閉会日に成立にこぎ着けた。

ある政府関係者は「新井氏抜きでは、こんな難しい法案を短期で成立させることはできなかった」と言う。前任の消費者庁長官も女性の伊藤明子氏だったが、国交省で住宅局長を務めていた伊藤氏は、安倍・菅両政権で官邸官僚として鳴らした国交省OBの和泉洋人元首相補佐官が「情実人事で登用した」(同前)と言われる。新井長官でなければスピード決着とはならなかった可能性が高い。
一方、新法が機能するかどうかは見通せない。宗教団体が寄付を勧誘する際、当事者の自由意思を抑圧することなどを禁止せず「配慮義務」としているため、専門家や宗教2世らからは「高額寄付を抑制できない」と懸念の声が上がっている。
被害者救済の道のりはむしろここから始まる。新井氏の仕事ぶりに一層注目が集まりそうだ。
「週刊現代」2022年12月31日・2023年1月7日合併号より