【衝撃ルポ】再生可能エネルギーは「無条件で善」なのか《消費税10%上げ相当、土砂崩れで12人犠牲》
「炭素税」で莫大な負担
風力、太陽光、地熱……「再生可能エネルギー」は無条件で「善」だと思われている。だが、本当にそうだろうか。発電所建設の実態や国が示す計画を精査した結果、あまりに杜撰な実態が見えてきた。
地球温暖化を食い止めるために、二酸化炭素排出量を減らさなければならない―。

30年以上前から、世界各国では「環境問題」が議論され、様々な政策が実行されてきた。そして'23年、日本では新たに〈クリーンエネルギー戦略〉なる政策がスタートする。政府の目標は、「2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」にすることだ。持続可能な世界を作らなければならない、という理念に異議はない。しかし、この改革が国民にとってどれだけ大きな負担を強いるのか、政府は十分な説明をしてこなかった。
「クリーンエネルギー戦略によって、とんでもない税負担が国民にのしかかってくる」
こう警鐘を鳴らすのは、エネルギー問題に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹だ。
「この政策は、温室効果ガスを減らすための脱炭素技術の開発とともに、再生可能エネルギー(再エネ)の安定供給に欠かせない蓄電池工場や半導体工場など、経済安全保障分野に総額150兆円を投資するというものです。すべての技術開発が順調に進んだとしても、20年後、30年後になってようやく社会実装できる技術なので、高コストなうえ、すぐには普及しない。産業競争力の強化には繋がりません」
政策の基本設計は、まず20兆円の新たな国債(環境債)を発行したのち、今後10年間で官民が協力して約130兆円を追加投資するというもの。その償還財源は、二酸化炭素の排出量を金額に換算して企業に拠出させる新たな税金(カーボンプライシング)の導入だ。最も分かりやすいのは「炭素税」で、企業に対し石炭や石油、天然ガスなどの排出量に応じた税金が課せられることになる。