再生可能エネルギーの「闇」の正体とは《風が吹かない地に風車》《鉄塔が小さく見えるように写真を加工》
再生可能エネルギーはまるで「無条件の善」のように言及されることも多いが、それは本当なのか。今日本で本当に起きていることをレポートする。
前編記事『【衝撃ルポ】再生可能エネルギーは「無条件で善」なのか《消費税10%上げ相当、土砂崩れで12人犠牲》』に引き続き、日本における「再生可能エネルギー」に関する問題について解説する。
風が吹かないのに風車
この日の説明会では、風力発電建設の根拠となる事業の「採算性」についての質問も出ている。
前町長の渡辺政巳氏が、「以前、町で調査したところ平均3mしか風が吹いていないというので、丸森では風力発電は難しいという結論だったんです。どのくらいの風が吹けば発電が可能なのか」と質問すると、青井グループ長は「4m以上は吹いて欲しい」と述べた。
風車のブレード(羽)は、一般的には3~4mの風でようやく回転する構造になっている。また台風などで風速24m以上になると、発電機などが破損する可能性があるため、発電を中止する。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「風力発電導入ガイドブック」によれば、風力発電事業は年間を通じて100%発電できるわけではなく、風車の発電率(設備利用率)は「20%以上であることが望ましい」とある。ようやく回転するくらいの風で、発電能力を20%以上引き出し、採算ベースに乗せられるものなのか。この点を後日、青井氏に問い合わせたところ「4mで採算が合うという意味ではなく、やっぱり4mは吹いて欲しいということで申し上げたということですね」という不可解な回答が返ってきた。
「SDGs(持続可能な開発目標)」のひとつである「クリーンなエネルギー」開発を掲げながら、事業者は安全性や経済性について明確に説明できていない。その裏で進めていることは、住民を無視した利益最優先の企業活動といえよう。