2022.12.29

江戸時代の「遊廓」に「攻略本」があったことをご存知ですか…? その攻略本の「意外な中身」

コロナが猛威を振るった2020年、政府は多くの補助金を出したが、一部の性風俗産業に従事する人にはそれが支払われなかったことが大きな話題を呼んだ。

セックスワークをどう捉えるか、どう社会のなかに位置づけるは、その社会にとって、つねにきわめて重要な問題である。

ところで、現代のセックスワークの問題をじっくりと考えるのにあたって参考になるのが、「遊廓」の事情だ。

日本にとって「遊廓」とはなんだったのか。

それを知るのに最適なのが、江戸時代の遊廓の実態をつぶさに描いた『遊廓と日本人』(田中優子著、講談社現代新書)である。

遊女が置かれた厳しい環境、一方でそこから生まれた絢爛な文化など、日本史の陰影の一端をご覧いただこう。

「遊び」とは何か

そもそも、何を目的に吉原の町は造られたのでしょう。「遊廓」というわけですから、「遊」のために造られた「くるわ」です。「遊」は遊ぶ、という意味ですね。しかし「遊」にはもうひとつ意味があります。「ただよう、さまよう、旅をする」という意味です。

これは、この吉原遊廓に暮らす遊女たちの由来と関係しています。『遊廓と日本人』の第一章で書いたように、遊女は旅をしながら芸能を見せ、同時に色を売った女性たちのことだったのです。