2022.12.29

橋下・馬場が狂奔した【維新】「銭ゲバ」分裂騒動の一部始終を暴露する…なぜ彼らは脱退したのに政党交付金に執着したのか

連載「維新戦記」第6回
米山 隆一 プロフィール

担当官僚は薄笑いを浮かべた

このように、大阪組:馬場氏/橋下氏の主張は、突如持ち出した独自の思い込みとしか言えない抽象的大概念を絶対の真実かのように言い募り、明文の規定や論理を平然と無視する極めて牽強付会なものでした。私は読むごとに辟易としながら、回答書を書き、11月23日付で政治資金課長宛てにこれを提出しました。

翌11月24日、共に訴訟手続きを進めていた井坂信彦衆議院議員の事務所で、私の出した回答書に対して総務省担当者と折衝する機会が持たれました。

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私は、そもそもの手続き上の正当性がこちらにあることと、私達の回答の合理性を示し、

「貴方も官僚で、法律を学んだことがある以上、どちらが正しいことを言っているか、直ちに分かるはずだ。

本来公権的な判断機関である総務省が、常識的、合理的判断を下せば済む話だ。何時までも当事者に意見照会と回答を求めるだけで判断を先延ばし続けるなら、こちらも訴訟に訴えると同時に、ここまでの経緯を公表して、世論に訴えるがよいか?」

と強く迫りました。

ところがこれに対して列席した担当者は薄ら笑いを浮かべながら、「ええまあ、こちらも総務省として、世間に恥ずかしい判断はできないなと思っており、しかるべき時が来ましたらしかるべく判断をさせて頂きます。只、現時点では、当事者間で意見が異なっておりますから、よく検討させて頂いております」といういかにも官僚答弁で応じ続けるだけでした。

私はこれを聞いた瞬間、それまで感じていた違和感とフラストレーションの正体、こちらが正しいことを主張し、公的機関が応じてくれることを期待するたびに裏切られ続けてきた理由が目の間に現れたように感じました。

 

推測に過ぎませんが、恐らくこの時、相応に高い確率で、橋下氏らが、自民党の極めて有力な政治家を通じて総務省に圧力をかけ、大阪組に有利に、若しくは少なくともに不利にならないように判断を先延ばしする事の合意を取っているのだと、直感したのです。

そのとき、橋下氏らと関係が深く、それが出来るほどの政治力と総務省に対する影響力を有する自民党政治家は、私にはただ一人しか思い当たりませんでした。

総務省の官僚たちとの折衝をほとんど何の成果もなく終えた私は、日本の政治に対するある種の絶望と諦観、それでもなお、訴訟に訴えてでも私達の正義を貫くべきだという決意とが入り混じった複雑な思いを胸に、議員会館を後にしました。

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