エネルギー危機、インフレ、不況…2022年、ドイツにとっての「受難の一年」を振り返る

ショルツ政権発足から一年

世界のエネルギー供給のバランスが総崩れになってしまった2022年が、今、終わろうとしている。ドイツに社民党のショルツ政権が誕生してからも、12月8日でちょうど一年。それにしてもこの新政権にとっては、なんという受難の一年であったことか!

戦争勃発、エネルギー不足、インフレ、不況、サプライチェーンの崩壊、人手不足、難民の増加、医療の崩壊……。虎の子の海底パイプラインは何者かに爆破され、ベルリンの市議会選挙は不正でやり直し、電車や空港のダイヤは機能不全に陥り、自慢の水槽は自壊、サッカーW杯では決勝トーナメントに進めず、まさかのグループステージ敗退となった。

Gettyimages

政権の運営もギクシャクしっぱなし。現政権は社民党を中心に、緑の党と自民党が加わった3党連立政権だが、緑の党のハーベック氏(副首相兼、経済・気候保護相)と、自民党のリントナー党首(財相)が、水と油ほどそりが合わない。

現在、政権を“実効支配”しているのは緑の党で、彼らはどんなに間違った政治をしても、なぜか人気が下がらず、一方の自民党は、たとえ正しいことを言っても人気は下がる一方だ。そして、肝心の社民党は音無の構え。今は誰が何をどうしようが、どの政策も失敗するに決まっている。

それなら、目立ちたがりの緑の党にやらせておくに越したことはない。緑の党ならたとえ失敗しても、国民は大目に見てくれるはずと、ショルツ首相は考えているのだろう。そして、実際にその通りになっている。

 

ショルツ政権全体としての支持率は、現在、過半数を切っているが、ドイツには議会の解散という選択肢はほぼない。つまり、任期はまだ3年あるから、それほど一喜一憂する必要もない。おそらく、今、政府が最重要視しているのは中国との良好な関係の保持だけだろう。

そして、そのためには極めてしっかり行動しているのが老獪なショルツ首相である。

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