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映画化も…8年で57拠点「障害者と働くショコラティエ」が大切にする「働き方」
2023.01.01

久遠チョコレートが目指すもの 後編

映画化も…8年で57拠点「障害者と働くショコラティエ」が大切にする「働き方」

映画化も…8年で57拠点「障害者と働くショコラティエ」が大切にする「働き方」 『チョコレートな人々』より (c)東海テレビ 画像ギャラリーを見る→

1月2日から上映となるドキュメンタリー映画『チョコレートな人々』は、「久遠チョコレート」(本店・愛知県豊橋市)を作った夏目浩次さんの活動を追ったドキュメンタリーだ。素材を生かしたおいしさとおしゃれなビジュアルで人気のチョコレート店は、心や体に障害がある人、シングル親や子育て・介護中の人、不登校経験者、セクシュアルマイノリティなど多様な人たちが働く。

「久遠チョコレート」の夏目浩次さん (c)東海テレビ

これまでにも久遠チョコレートの取材をしてきたジャーナリストのなかのかおりさんが映画化を前に新たに夏目さんにお話を伺う前編では、そのノウハウを提供したフランチャイズ店も全国に広がり、現在は57の拠点を持つに至った経緯や、出店を希望する人々とのやりとりについてお伝えした。後編では、それだけ多くの人から支持を集める理由のひとつでもある夏目さんが大切にしている「働き方」にフォーカスしていく。

果物などが多く入る華やかなテリーヌが人気の久遠チョコレート (c)東海テレビ

重い障害の人も…働く人に合わせた仕事

20年前、26歳だった夏目さんが始めた障害者と働くパン工房から始まり、ショコラティエと出会って、8年で全国57拠点に拡大した久遠チョコレート。コロナ禍に、経営が立ち行かなくなる飲食店も少なくない中、久遠チョコレートは既存の店舗を増やすだけでなく、新しい試みも始め、進化し続けている。

外出がままならなかったコロナ禍には、通信販売を始めた。チョコレートは日持ちして、幸せになれるスイーツ。応援したい店舗を選び、注文することもできる。実店舗も、ゆったりとしたスペースがとれる地方では、「近場でショッピングを楽しむスポット」として人気だ。

(c)東海テレビ

さらに夏目さんは、現場のニーズを汲み取り、重度の障害者が働ける場も設けた。茶葉やチョコレートをミルでひいたり、くだいて細かくする仕事がメインのパウダーラボは、2021年に豊橋に2つ、2022年に豊川に1つ作り、直営している。これから順次、全国にも出していく。福祉の生活介護事業として、運営することもできる。旭川や福岡、岡山で、すでにフランチャイズ店を持つオーナーが、やりたいと手を挙げている。

ラボの環境や仕事内容は、働く人に合わせてアップデートしてきた。じっとしていられない男性が、こだわりの音楽動画を見ながら作業できるのであれば、専用のタブレットを用意してかたわらに置く。床をどんどんと踏んで下の階から苦情が出るなら、一軒家の工房を用意する。茶葉をパウダーにするのに、通常の機器が使いにくければ、その人がより作業しやすい道具を用意する。チョコレートのパッケージ箱を組み立てるのも、大事な仕事となった。

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