最新AIの実力を試す実験として
米国の研究機関OpenAIが先頃公開した「ChatGPT」が世界中で注目を浴びている。これはユーザーとの対話形式で、政治・経済・文化をはじめ、あらゆる分野の質問に丁寧に答えてくれるAI(人工知能)だ。
また、従来のチャットボット(お喋りAI)に比べて高水準の言語能力や広範囲の知識を備えているため、こちらのリクエストに応じて小論文や脚本を書いたり、コンピュータ・プログラミングやそのデバッグ(修正)など様々な知的作業もこなしてくれる。
他方で、その回答には誤りや失言などが含まれることもあり、この点では物議を醸している。

この種のAI(人工知能)には「人間の仕事を奪うのではないか」とする脅威論と、「人間の頭脳労働をアシストする便利なツールになる」とする楽観論の双方が聞かれる。ただ、いずれの場合にせよ「未だその域には達していない」とする慎重な見方もある。
それらを検証するために、今回、ChatGPTを使ってフィクションを書いてみることにした。ただし筆者はこれまで小説など書いたことがない素人だ。仮に写実的な現代小説を書くとなると、緻密な人物、心理、情景描写などが求められるが、筆者にそのような筆力は備わっていないし、恐らく現時点のChatGPTも同様であろう。
そこでフォークロア(民間伝承)風の怪奇小説を書いてみることにした。これなら言わば「浦島太郎」や「白雪姫」のようなお伽話であるから、微に入り細を穿つような描写は求められまい。素人が現在最先端の人工知能を使って、どの程度のフィクションを書けるか。以下がその結果である。
予めお断りしておくと、この作品(と呼ぶのもおこがましいが)には、人物の容姿をあげつらうような記述が目立つ。昨今のポリティカル・コレクトネスの時代にそぐわないと思われるかもしれないが、現代AIの実力を試す一種の実験だと割り切って、どうかご容赦頂きたい。では始めよう。