2023.01.03
# サッカー

「選手総年俸が高いチームが勝つ」「10試合で監督の能力は分かる」…データが示すサッカーの「残酷すぎる真理」

小倉 健一 プロフィール

凄いのは森保か、選手か

正直、ワールドカップを観ていて、偶然に左右される試合が多かったと私は感じたが、読者はどうだっただろう。

ゴールキーパーが適当に伸ばした足にたまたま当たってゴールを防いだシーンもあったし、スペイン戦での日本の2点目のシーンで、三笘選手のクロスは数ミリの差でゴールラインを割っていなかった。そのプレイに至るまで、執念、努力、才能などの積み重ねがあったのは疑いようもない事実ではあるが、勝敗を分けたのは、運の要素があったことを認めざるを得ないのではないか。何より、そんな偶然の要素が強いスポーツに、どの程度監督の力量は影響されているのだろうか。

「スキルか運か? サッカークラブの監督のパフォーマンス」(The performance of football club managers: skill or luck?)と題する論文(2013年)には興味深い内容が示されている。同論文は、投資の世界で活躍するファンドマネージャーの能力を判断する方法論を使って、サッカーの監督も評価してみようという内容。「Aチーム」を率いる「X監督」が行った試合における得点が、選手やチームの力量によるものなのか、それとも監督の采配によるものが大きいのか、もしくは小さいのかを識別したという。

 

自分が応援するチームが強くない場合、負け続けたとしても、それは選手のせいなのか監督のせいなのかがわかりにくいことが多い。しかし、この方法論に従えば、監督が「凄腕」なのか「今すぐ降板させるほどダメ」なのかがわかるという。

その方法論とは、「1試合あたりの平均勝ち点数」と「選手の年俸総額」の2つを見ればいいという驚くほど簡単なものだ。

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