10試合で力量は判断できる
また、同論文によれば、監督を任せて最初の10試合で、監督としての能力がある程度正確に判断できるとしている。
公式戦が開幕してスタートダッシュにつまずいたとしてもファンは10試合は我慢したほうが良いようだ。10試合までに、優れた監督は最初から輝きを放ち、成績不振の監督は初期の失敗を取り返すことができないのだ。
余談ではあるが、シーズン中に常任の監督を持たずに流動的に監督が変わっていくと、1シーズン誰かに任せきった場合の平均値を大きく上回る(60例中9番目に良いスコア)こともわかっている。もはや監督など誰でもいいと割り切ってしまった方が良い結果を生む。就任後10試合で結果を出せない監督はさっさと変えて、そのあとは臨時コーチで凌ぐのが良いのだ。
しかし、いずれにしろ、サッカーにおいて、監督の手腕がチームに強い影響を与えているということはなさそうだ。負けがこんだからと言って監督の責任ばかりを追及してもしょうがないし、勝ったら即名采配ということもないのが現実だ。
「サッカーはゲームが複雑すぎて、正確にモデル化できない。コーチが何らかの小さな影響を及ぼしているように見えるという小さなシグナルがあるかもしれませんが、どのコーチが素晴らしく、どのコーチが悪いかを個別に識別することはできません」(Ryan O’Hanlon著『NetGains』2022年10月18日発売)と、メッシが所属していたバルセロナのデータサイエンティストで、世界的に著名なサッカー研究者であるルーク・ボーン氏は語っている。