「これ誰!? お母さんじゃないみたい」

ヤングケアラーと言う言葉を知っているだろうか。
それは大人に代わって、日常的に家事や家族の介護などを担う18歳未満の子どもを指す。
「お手伝い」などとの言葉で片づけられないのは、「ヤングケアラー」が年齢や成長を無視した、重い責任を負わされるからだ。さらに学業や部活動などに支障をきたし、進学を諦めたり、孤立感を深め、育ちや教育に影響を及ぼすことも少なくない。
令和2年度文部科学省が初めて「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」を行ったところ、小学6年生の6.5%が「家族の世話をしている」と答えた。
世話をする家族は「きょうだい」が最も多く71.0%、次いで「母親」19.8%だった。

48歳で認知症になった母』(マンガ:吉田美紀子、原案:美齊津康弘/KADOKAWA)は、11歳にしてヤングケアラーになった美齊津康弘さんの、衝撃の実体験をつづったマンガだ。優しくて頭が良くて、もと国体の陸上選手だったやすひろさんの母は、48歳の若さで若年性認知症を発症する。小学校5年生だったやすひろさんは、仕事で毎晩遅い父、遠方に嫁いでいる姉、高校生の兄に代わって、母の世話をするようになるのだが……。

『48歳で認知症になった母』(漫画:吉田美紀子、原案:美齊津康弘 / KADOKAWA)
 

マンガは2022年2月よりウェブサイト「レタスクラブ」で始まり、同年10月末で580万PVを記録。ホームヘルパーとして介護の経験のある吉田美紀子さんの作画は、子どもが負わされた「家族の世話」の重さを実感させる。
自身の体験が原作となった美齊津さんは、「誰にも知られたくなかった」ヤングケアラーだった頃の自分についてこう話す。

「かつての体験をこれまで人に話すことはほとんどありませんでした。私が経てきた境遇を誰かに理解してもらえることなどないだろうし、聞かされた方も困るだろうと思っていたからです。
ところが数年前に『ヤングケアラー』という言葉と出会い、その言葉が自分の境遇と一致していたことに驚き、さらに同じような子供が世の中にたくさんいることに衝撃を受けました

実際小学校6年生の15人に1人が家族の世話などをしているという事実は、ショッキングなデータである。しかもそうした父母の世話をする小学6年生の3割が、父母が世話を必要とする理由が『わからない』と答えており、平日1日あたり7時間以上世話をしながら、その3割以上が「特に大変さは感じていない」と回答しているのだ。

日本総研は「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」で、「小学生の年齢だと、家族の置かれた状況を十分に理解できていなかったり、家族の世話をすることが当たり前になり、その大変さを十分に自覚できていなかったりする」と分析。
また、「自らの置かれた状況を把握し、大変な状況にある」と認識できないために、自分から誰かに相談することも難しく、支援体制を整えていくことが今後の課題といっている。

作者の壮絶なヤングケアラーの体験を、漫画の試し読みでお伝えする。