「眠れない、めまいがする」
そもそも地震でも台風でもなく、タワマンの高層階ほど強風が吹けば揺れる(のがわかる)。「絶対に揺れてない!」と強調する人は三半規管が鈍いのか、風評被害で建物の資産価値が下がるのを恐れているのかもしれない。
以前泊まったシカゴの高級ホテル高層階でも、ミシガン湖からの吹きっさらしでバスタブにはった湯がチャポンチャポンと波立ってこぼれていた。

30階の筆者の仕事場でも強風の日は、トイレ便器の封水面が左右にゆらゆらと揺れていた。
普段なら他のことに気を取られて気づかないか、そのうち慣れてしまう程度の震動だが、過敏な人だと一種の船酔い状態になる。
渡辺夫妻も高層階暮らし10年の結果、「眠れない、めまいがする」と体調を崩し、震災の異常な揺れも経験した末に、タワマンを去ることを決めた。