顔面を引き裂かれて…
実際にこのガイドラインで、自分の身を守ることができるのだろうか。
ステージ4のリンパ腫と闘っているカリフォルニア州オリンダの66歳の女性、フォン・ホフマン=カージ氏は、週末土曜日の早朝に、台所から聞こえる「ドーンという大きな音」で目を覚ました。当初、カージ氏は自分の息子(身長180cm)が何かを起こした音だと考えていた。
驚いたことに、彼女がその音に近づくと、立ち上がって冷凍庫から食べ物を取り出し、地面に投げつけている黒いクマを発見した。「私が(クマを)認識した瞬間、おそらくクマも、私がそこにいることを認識したのです」とカージ氏は米オンラインメディア「INSIDER」(2021年11月5日)に語っている。
クマは、カージ氏を見つけるや否や突進して、大きな前足で彼女の顔面を引き裂いた。「ナイフで切り刻まれたように、全身から血が滴り落ちていました。私の顔はかなりひどく引き裂かれていました」という。顔の裂傷は深く、唇一面に刺し傷の跡があった。また、胸をひどく噛まれ、顎と胸の上、左腕と背中に熊に揉まれた裂傷があった。腹部には引っ掻き傷があったが、一番致命的だったのは脾臓の真上の刺し傷であったという。
幸いだったのは、カージ氏の鋭い叫び声がクマを後退させ、家の反対側で寝ていた彼女の夫と息子を起こしたことだ。クマが階段を下りて家のメインフロアに戻ってくると、カージ氏は手すりからぶら下がっていた掛け布団をつかんで、クマに投げつけた。掛け布団はクマの頭の上に落ち、クマは退散した。2階にあった新鮮なアボカドの匂いに引かれて侵入したのだろうとカージ氏は推測している。一度でも家に入れると理解したクマは、再び同じことをするだろうと、カージ氏はクマの罠を仕掛けるようになったという。
咄嗟の判断で鋭い叫び声をあげたことが、クマを退散させることができたというが、やはり、クマにとっても突然の遭遇は攻撃性を高めるに十分であったということだ。
近年、動物愛護が叫ばれ、クマの保護やいたずらに命を絶たないことが重視されるようになったが、カージ氏は、この地域の「悪いクマ」が駆除(殺処分のこと)され、安全な場所になることを望んでいる。