そこには「嫌韓嫌中」というフォルダが…亡き父のパソコンを立ち上げて「暗澹たる気持ち」になった理由

「老いた親が突然、韓国や中国を罵倒するような言葉を吐くようになって戸惑っている」

昨今、そんな声をしばしば耳にするようになりました。

ルポライターの鈴木大介さんも、父親が老いとともに「ネット右翼」的な言動をとるようになったことに戸惑った一人です。

父親の死の直後から、鈴木さんは父親の「右傾化」についてより深く考えるようになります。

なぜ父は右傾化してしまったのかーー。

この問題に取り組んだ鈴木さんの新著『ネット右翼になった父』より、父親の右傾化の検証過程を描いたパートをお届けします。

遺品ノートパソコンを立ち上げる

亡き父の検証。それは、墓を掘り返すような作業から始まった。

まずは、父のがん細胞が脳に転移して言葉を失う直前まで使っていたノートパソコンに、再度電源を入れた。現在主流になっているSSD(ソリッドステートドライブ=非常に高速で作動する記憶媒体)ではなく旧来のハードディスクを搭載したモデルで、起動にとても時間がかかる。

読み込みのたびにハードディスクと冷却ファンから鳴るかなり大きな異音に、病室や書斎でそのノートパソコンを前にしていた父の記憶が、病室に充満していた「死を待つ者に独特の体臭」が、まざまざとよみがえった。