日本には安心して死ねる場所がない…現役医師と看護師が『安楽死』を語り合った「患者が最後まで自分の人生を自由に生きることはできるのか」

感染症や病気、戦争など、さまざまな理由で昔は生きることが難しかった。医療が発展し、世の中が平和になるにつれ、生きることはできるようになり、人々は生き方や生活の質を求めるようになった。生き物には必ず死が訪れる。これからは、死に対しても質を求めていくだろう。しかし現状は…「日本には安心して死ねる場所がない」。死ぬとは死ぬまで生きることだ。安心して死ねるということは、安心して生きられるということではないだろうか。

今回は『後悔しない死の迎え方』 (ダイヤモンド社)の著者で現役看護師である後閑愛実氏と、『だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケア医を巡る、私たちの物語』(晶文社)の著者である川崎市立井田病院腫瘍内科部長・西智弘氏に、「安心できる死」について話し合った。

「生きづらさ」が少しでも緩和できたら

後閑 西先生はどうしてこの著書『だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語』を書こうと思ったのですか?

西 あまり経験しない体験だったからです。本に出てくる吉田ユカさん(仮名)に「自分のことを伝えてほしい」ってお願いされて、その意図を汲んだ部分もあります。「自分と同じように苦しい思いをしている人はたくさんいる。だから自分の体験が、他の人たちの何かの助けになればいいと思う」と伝えられました。

後閑 自分が生きた経験、証を世の中に残したい、役立てたいって気持ちは私にもあります。西先生も私も出版をしていますが、本を出すというのも、その一つの形なんじゃないですかね。

Photo by gettyimages
 

西 本を出すことを社会活動と捉えたときに、自分が何かをやったからといってそんなに大きく社会変わるわけじゃないし、変えようっていうのはおこがましいけど、少しでも未来がより良い世界になっていたらいいなとは思います。

後閑 価値観って私は広げるものだと思っています。「こう生きなければならない」って思って生きていると息苦しい。でも人の話を聞いて「そんな生き方もあるよね」「そんな捉え方もいいよね」って価値観の幅が広がったら、人生はもっとラクに楽しく生きられるのではないかと思うんです。私が私の体験を話すのも、文章で残すのもそういう誰かの「生きづらさ」が少しでも緩和できたらいいなって想いからです。

西 なるほど。

後閑 西先生の本『だから、もう眠らせてほしい』の後ろに「日本には、安心して死ねる場所がない」って書かれていますが、本当にそうだなって思います。毎週土曜日に「国は安楽死を認めてください」ってハッシュタグでTwitterデモがされているのを見ました。それ以外にも介護殺人や電車の飛び込み、自殺のニュースが流れるとこのタグのツイートがどっと流れてきます。

西 たしかに、流れてくるのを見たことがあります。

関連記事