「中低所得者」を中心に人々の生活を苦しめる物価上昇があることをご存知だろうか。
そのインフレを「スクリューフレーション」と呼ぶ。
実際この10年、日本では物価は下がっているにもかかわらず、生活必需品の価格は上がり続けている。
スクリューフレーションの恐るべき実態を、気鋭のエコノミスト永濱利廣氏が『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で説明している。
生活必需品の値上がりが
いま世界で猛威を振るっている「スクリューフレーション」の脅威について解説します。
スクリューフレーション(Screwflation)とは、「締め付け」(Screwing)と「物価上昇」(Inflation)を合わせた、10年ほど前にアメリカで作られた造語です。直訳すると「締め付ける物価上昇」ですが、特に「中低所得者層を締め付けるインフレ」のことを指します。
図表6-1に見られるとおり、中低所得者層は支出のなかで生活必需品の割合が高い傾向にあります。
そして、新興国の台頭により、生活必需品以外の値段は上がりにくくなった一方で、生活必需品の値段はここ10年ほど世界的に値上がりしています。
