2023.01.25

かつて「ピンクは男子、ブルーは女子」の色だった?

「色のコード」を読み解く

色には意味がある。たとえば日本では、603年に聖徳太子が「冠位十二階」を設けたが、濃紫の冠をかぶることが許されたのは最高位の大臣や官吏だけだ。紫色は高貴な人の象徴だった。

色は、見る人に特定の印象を与える。たとえば赤は生肉、血、火を連想させる。

黄色のスーツを着てオフィスに行こうとしたら「ダメだ」と言われたことがきっかけで、色のコード(色彩が持つ意味合い)に取り憑かれた文化ジャーナリストのポール・シンプソン『色のコードを読む』(フィルムアート社)は、なぜその色がそのような意味を持ち、印象を与えるのか、人類は色をどのように扱い、理論化してきたのかを、生理学から歴史までを横断しながら教えてくれる。

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ある色に対して生物としての人間が生理的に感じるもの+社会的に構築された意味づけ

色のコードを決める大きな要素はふたつある。

ひとつめは、人類が生物として生き残るために蓄積されてきた好悪だ。たとえば緑は青に次いで二番目か、赤に次いで三番目に人気のある色だ。これは長きにわたって自然界のなかで生きてきた人間が、植物の持つ葉緑素(クロロフィル)の色を好むようにしくまれているだ。一方で食べものに付いたカビなどのイメージから、緑は腐敗を意味する色でもある。こういう好悪は数万年単位で人類に埋め込まれているもので、後天的には変わりにくい。

ふたつめは、社会的・歴史的に作り出された意味合いである。アメリカの権威ある業界紙「アーンショーズ」は1918年時点で「よりはっきりとした強い色であるピンクは男の子にふさわしく、一方、繊細で可憐なブルーは女の子をよりかわいらしく見せてくれることでしょう」と書いていた。言われてみれば、『不思議の国のアリス』のアリスのドレスも青である。少し時代が下って1950年代にピンクのシャツやジャケット、キャデラックを好むエルビス・プレスリーは反体制的な存在だった。これは当時のアメリカではピンクは女性や黒人のための色とされていたからだ。こちらは社会の変化によって数十年、場合によっては数年単位で変わることもある。

このふたつが絡み合い、人々の色に対する印象を決めている。

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