2023.01.12

拘置所へ支援金殺到も反応薄く…山上徹也被告の「心の闇」は初公判で明かされるのか

謎だらけの事件

「韓鶴子(世界平和統一家庭連合=統一教会)総裁の殺害計画を諦め、安倍(晋三)元首相にターゲットを替えて実行するまでに3年近くの歳月を要している。その間、誰にも相談せず単独で準備を重ねたとは思えず、共犯もしくは支援者がいるのではないかと思って調べたのですが、見つかっていません」

安倍晋三殺害事件を追い続ける在阪の社会部記者がこう漏らす。

約半年という異例の長期鑑定留置を経て、山上徹也容疑者(42歳)が殺人罪などで起訴される。「騒動の鎮静化を待つ」という検察の思惑は当たり、統一教会がすべての元凶であるかのような報道は、昨年末に被害者救済新法が成立したことでひと段落した。今後、検察側と弁護側が論点整理をし、争点を絞ったうえで年内にも行われる裁判員裁判での初公判に臨む。

山上容疑者

この間、大阪拘置所での山上の様子は、接見を許された妹が元弁護士の伯父に語り、対外窓口となった伯父の口からメディアに伝えられるだけだった。山上は、「塀の外」の喧噪をさほど気にする様子もなく、全国から100万円を超える支援金が集ったことを聞いても反応が薄いという。

2022年7月8日午前11時31分、筒状の銃身を粘着テープで巻いた手製の銃で安倍元首相に向けて2発の銃弾を発射した山上は、直後、警察官に仰向けで押さえつけられ、抵抗することなく空虚に目を見開いていた。

2019年10月6日、愛知県常滑市で開催された統一教会のフェスティバルに火焔瓶を持って乗り込もうとして果たせず、韓総裁から安倍元首相へと切り替えたという“飛躍”を含め、この事件には謎が多い。

ネット上では「山上の発射角度と安倍入射角度の違い」から第三者による発砲説が流れているし、冒頭のように誰にも頼らず相談せず、冷静に事を運べるだろうかという疑問から、支援者の存在を疑う向きもある。

 

半年を経て新たな事実が出てこない以上、いずれも「想像の範囲」でしかないが、そうなれば統一教会に全財産をぶち込み自己破産した母親に人生を狂わされて以降、20数年間も怒りを内包し、それが日本で最も著名な政治家を銃撃するという単独犯としての“狂気”につながったというしかない。

この計算外、常識外の行動は、「統一教会という特異なカルト集団が引き起こした2世信者問題」という一般論に閉じ込めてはなるまい。すでに一般論は、野党、被害者弁護団、脱会・2世信者、マスメディアなどの共闘でさまざまに論じられ、救済新法として不十分ながら政治決着した。

今後は、公判などを通じて山上が抱える「心の闇」に迫ることで、山上の個別事情を社会が抱える構造問題の解明へと“昇華”させるべきだろう。

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