2023.01.23
# ビジネス

ヨーロッパではありえない安さの「スシロー」から見える「日本人の給料が上がらない」ワケ

谷本 真由美 プロフィール

スシローは日本社会を凝縮している

そしてもうひとつ、日本に帰ると必ず向かうのは回転寿司のスシローであり、わが家はスシローの常連でもあります。子どもがボタンを押して注文するのをおもしろがるので行くわけですが、値段が驚くほど安いのも助かります。

なにせヨーロッパだと一皿八〇〇円はする握り寿司二貫が一二〇円から三九〇円です。これを二〇二二年一一月の為替で計算すると、英ポンドだと一皿七二ペンスから二・三ポンドです。

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つまり日本で食べたら六分の一から二分の一程度の値段でお寿司が食べられます。サイドメニューも一八〇円とか三〇〇円で、これまたありえない安さです。

デザートに至っては、ヨーロッパであればレストランで一品一〇〇〇円ほどするレベルのパフェが三三〇円です。つまり三分の一の値段です。このような安さが、日本に外国人旅行者が押し寄せる理由の一因です。

このスシローと同じように、東京都心のホテルでも一泊八〇〇〇円とか一万円程度という格安のところがあります。アメリカやヨーロッパの人たちは「本当にこの値段なのか? 予約サイトが壊れてるんじゃないの?」というほどです。他の国であれば似たような立地なら二万円から四万円の宿泊料金だからです。

スシローの安さには徹底的な経営の合理化や仕入れの工夫がありますが、やはりここまで安いのには「日本の消費者は値段が高いものにはお金を出せない」という事情があります。

つまり職場で十分な報酬を得られていない、ようするに給料が安い、ということが背景にあります。このように物の値段がどんどん下がってしまうのは、企業が妥当な報酬を支払わないからです。

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