イギリスをはじめとするヨーロッパ、アメリカ、オセアニアの先進国は、働く人の給料が上がっているので物の値段も上昇します。それが反映されるので、外食は日本より遥かに割高です。なぜ給料が上がるかというと、給料を上げなければ人が来ないし、期待に見合う働きをしてもらえないからです。
また労働組合がある場合や業界標準の報酬がある程度決まっている場合は、働く側が報酬を上げる交渉をしたり、標準以下では働きませんと抵抗したりします。ところが日本ではこれが起きていません。多くの人が安い報酬でも働いてしまうからです。
したがって日本の働く人々が昇給の交渉をして、「安い賃金では働きませんよ」と毅然たる対処をすることで給料が上がると、スシローの寿司が一皿四〇〇円とか五〇〇円になる可能性もあるわけです。
スシローには値段のほかにも日本社会を凝縮しているところがあります。それは運営の徹底的な機械化です。ところがその機械化があまりにも複雑すぎて、むしろ非効率になっている点もあるのです。