2023.01.20

800億円の損切りを乗り越え、日本一に!「楽天カード社長」が三木谷浩史から学んだ「大切なこと」

2022年に創業25周年を迎えた、楽天。多岐にわたる事業の中でも、急成長を遂げて業界首位の座に君臨しているのが「楽天カード」である。前編では、楽天カード社長の穂坂雅之氏が楽天に入社し、クレジットカード事業を推し進めた経緯を見てきた。

だが、楽天カードが「日本一」に辿りつくには、どうしても超えなければならない「山」があったという。三木谷浩史氏監修の最新刊『突き抜けろ 三木谷浩史と楽天、25年の軌跡』からお届けしよう。

過払い金対応という底なし沼

2006年、穂坂は楽天KCの社長に就任していた。この年、最高裁判所は利息制限法が定めている金利を超える分は支払い義務がない、とする判決を出した。ここから、いわゆる「過払い金」問題が巻き起こる。過去、グレーゾーンと言われていた金利で貸していた分まで、過払い金として利息返還請求が起こる可能性が出てきたのだ。

「ようやく未収についての見通しがついて、やっとここまで来た、会社もよくなってきた、と三木谷も喜んでいたときに、じわじわとやってきたのが、過払い金問題でした。厳しい追い打ちでしたよね。でも、これは世の中の流れなので、社員が努力してもどうにもならないものでもあったんです」

最高裁判所の判断から時間が経つにつれ、利息返還請求に備えて、引当金を積む必要に迫られるようになった。日本公認会計士協会からの指針に従うと、その規模は相当な額になった。指針に従わなくても、巨額の引当金は会社のバランスシートを大きく傷める。こうなれば、運転資金を銀行から借り入れしにくい状況になる。乗り切るには、楽天から増資してもらうしかなかった。

「増資した分で引当金を積み、借り入れしている銀行には、親会社にしっかりと増資してもらったので運転資金については引き続き融資してください、と伝える。そういう対応をするしかなかったんです」

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しかし、問題はその引当すべき金額が、まったくわからないことだった。過去の返済がすべて過払いとなれば、過払い金はそれこそ天文学的な数字になる。実際、かつて業界トップを誇った企業は2兆円もの過払い額となり、最高裁判所の判断から4年で会社更生に追い込まれてしまった。

「楽天KCも一度の増資だけでは足りませんでした。後から後から過払い請求が続き、そのたびに追加の引当をしなければいけなくなった。そうすると、資本金が足りなくなりますから、また親会社の楽天に出してもらうしかない。底なし沼の様相でした」

穂坂は、そのたびごとに三木谷にお願いをすることになった。とうとう三木谷からは、こんな言葉が飛びだした。

「もう嫌だ」

「社長としての僕の判断です。そうは言っても、これは逃げられないんです。やるしかないんです」

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