持ち家は賃貸より良い選択…統計データが明らかにする「定年後の家計の知られざる実態」

〈年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く――。〉

9万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。

定年後の「家計の実態」

定年後には一体どのくらいの出費があるのか?

〈50代後半まで家計支出は高い水準を維持しつつ、60代前半以降で減少していく。最も減少幅が大きいのは50代後半から60代前半にかけて。定年を境に、月57.0万円から43.6万円と支出額が減る。

60代前半以降も家計支出は減少を続け、60代後半時点で月32.1万円、70代前半時点で29.9万円まで出費は少なくなる。それ以降も緩やかに家計支出は減少、70代後半以降は月26万円程度で安定して推移するようになる〉(『ほんとうの定年後』より)

子どもたちの教育費などから解放される時期でもある定年後には、支出がぐっと下がる。定年後の支出が月30万円前後というのは、みなさんの実感と符合しているだろうか。

持ち家は賃貸よりも良い選択

支出に関しては、「住宅」という大きな問題もある。

統計データからは、持ち家比率や借家の人の家賃費用の実態がみてとれる。

〈34歳以下の年齢階層で51.1%であったものが、40代後半で80%、60代前半で90%を超える。そして、最終的には大半の家庭で家を保有するという選択をしていることがわかる〉

〈借家の人に限定して家賃に関する費用を算出すると、65〜74歳でその額は月5.1万円に上る。月5万円程度の支出というのは、高齢期の家計にとってはかなり大きい〉(『ほんとうの定年後』より)