次世代のガーシーが現れるのはなぜか
ある国際弁護士に話を聞いたところ、「これから警視庁が本気で捜査を進めれば、たとえ帰国を拒否しても、警察は非協力と見なしてパスポート失効を進める可能性がある」と言う。
「そうなると不法滞在に問われ、基本は国外退去となります。ただ、日本で今回の容疑で有罪となっても、重い実刑判決にならなければ実質、大きな損失はなく、彼自身の暴露が終わっても、ほかの配信者が甘く見て彼に代わる過激な暴露系が出てくるのでは」
いずれにしても、暴露系の配信者が後を絶たないのは、それを期待する野次馬がいるからだが、もうひとつの理由は「ネット正義感」である。

いまやソーシャルメディアを眺めていると、無知やデマでもドヤ顔で叫ぶ人や、やたらと敵をカテゴリーして攻撃する人、そして何かを暴露する人あたりが注目を集めている。かつては中立的なイメージを保つことが求められた政治家やタレントでさえ、二極論のどちらかに寄っての主張がトレンドになっているほどで、彼らを支えるのが熱心なフォロワーたちだ。
そのフォロワーがいるネット世論は、もともとマスコミの対立軸になりたがる風潮があり、同じ情報発信を生業にしても、芸能ゴシップを発したメディアには「プライバシーの侵害だ」と批判するが、一方でソーシャルメディアでの暴露は過激な内容であっても称賛する。
それが顕著だったのが、かつて人気だったネット掲示板「2ちゃんねる」で、影響力への嫉妬からかマスコミ批判が最も受ける方向性である一方、公人・私人の個人情報を晒したり、私刑を求めたりすることには歯止めがなかった。