2023.01.23
# AI # 将棋

藤井棋士に死角はあるのか? 苦手とするトーナメント戦と「藤井曲線」

藤井聡太はどこまで強くなるのか(8)
「負ければニュースになる」ほど強い藤井聡太五冠。果たして史上最年少名人記録は更新されるのか? 現記録保持者の谷川浩司・十七世名人が、さらなる進化を続ける藤井将棋と過酷さを増す将棋界のいまに迫るとともに、棋士・将棋界にとっての「名人」とはなにかを自らの経験も含め明かした著書『藤井聡太はどこまで強くなるのか 名人への道』。注目の章をピックアップ連載!
前編<藤井棋士の驚くべき通算勝率——得意とする戦い方の肝は“時間”にあった!>に引き続き、「藤井曲線」が示す理想の勝ち方について解説。

藤井棋士が苦手とするトーナメント

逆に藤井さんが苦手とするのは、考慮時間が10分間と最も少ないNHK杯テレビ将棋トーナメントだ。事実、本戦は2022年8月まで10回の対局で5勝5敗、勝率5割にとどまっている。

2022年1月・開催中のNHK将棋トーナメント表

対戦相手にしてみれば、持ち時間が短い対局のほうが、事前の研究と想定が生きて、それだけで押し切れる可能性が高くなる。その特徴について、NHK杯最多優勝者(通算11回)の羽生さんはこう話している。

「素早く決断できる若手棋士が活躍する傾向にありますね。数多くの手を読みきる計算力もありますし、自分の直観を信じて、恐れずにいける思い切りがある。スポーツにたとえるなら……サッカーの若手アタッカーがボールを持つと、強引に仕掛けてシュートに持ち込んでくる感じですかね(笑)。それくらい思い切り踏み込んでくるイメージです」(「Number Web」2020年9月30日)

NHK杯のような早指し戦は、1手ずつ読みを積み上げて、納得がゆくまで考える長考派の藤井さんとは相性が必ずしも良くないことになる。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大