2023.01.19

「人口減少」と「男子あまり」に苦しむ中国…この国でこれから起きる「二つのシナリオ」を考える

ついに中国の人口が減少に転じた。

世界中の国々がこの「巨像」の動向を注視している。

13億という巨大な人口を抱えるこの国で、今後、どのように人口が減っていくのか。そして、それは中国社会にいったいどのような影響を与えるのか。

2018年の段階で中国の人口問題に光を当てていた『未来の中国年表』より一部を抜粋、編集し、この深刻な問題の本質に迫る。

以下で焦点を当てるのは、中国で「女性に比べて男性の数がきわめて多い」=「男性が余っている」という事態だ。

同書の著者であり、中国ウォッチャーとして知られ、著書やテレビ出演も多い近藤大介氏は、中国の人口問題をどう見るか。

未来の中国年表

国際結婚が増える

あくまでも私見だが、近未来の中国では、「男あまり」によって以下のような現象が起こっていく気がする。

第一に、同世代の中国人女性と結婚できない中国人男性たちが、中国よりもっと貧しい国々の女性を娶るケースが増えるということだ。

2018年正月に北京で、大学院生の青年たちから聞いた話では、すでに周囲には、ベトナム人やモンゴル人女性などと結婚する男性が出始めているという。

そもそも中国人とは、91.51%の漢族と、8.49%の55の少数民族との総和である(2010年の全国人口調査)。

多くの少数民族には「母国語」があり、習慣も食べ物も漢族とは異なる。朝鮮族、モンゴル族、カザフ族など、国境付近には周辺国の少数民族がいるのだ。

毎年3月に北京の人民大会堂で開かれる全国人民代表大会(国会)は、「ミニ国連」の異名を取るほどである。