「空巣青年」の孤独
第二の現象は、「空巣青年」の増加である。
「空巣青年」とは、何やら物騒な名前だが、2017年頃から中国で流行語になっている。
日本語の「空き巣」とは無関係で、親元を離れて大都市で一人暮らしをしている若者のことだ。
一人っ子世代の彼らは、休日にも他人と交わらず、狭い自室に引きこもって、日がなスマホをいじっていることから、「空巣青年」と呼ばれているのだ。

2018年の春節の大型連休期間中(2月15日~21日)の中国国内の旅行者は、3億8600万人に達し、旅行関連収入は4750億元(約8兆円)に上ったと、中国文化観光部は発表した。
だが「4億人、5000億元」という当初の予測ラインには届かなかった。その最大の理由は、「空巣青年」たちが、自宅に引きこもっていたためと見られる。
『旅かえる』に夢中
「空巣青年」の間で、2017年暮れから大ヒットしているスマホゲームがある。
タイトルは、『旅行青蛙』。
名古屋のゲームメーカー「ヒットポイント」が開発し、2017年11月にリリースしたスマホ向けアプリ『旅かえる』のことだ。

この日本発のゲームが、中国語版も出ていないのに、2018年1月以降、中国の無料スマホアプリ市場で、ぶっちぎりのトップを走り続けた。