小児科の医師の成田奈緒子さんは、子供の脳の発達の研究を続けている脳科学者でもあり、「子育て科学アクシス」にて様々な相談も受けてきている。神戸大学医学部の同級生だという山中伸弥教授との共著『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』では、おふたりの「育ってきた環境」も明らかにしながら、「レジリエンス=乗り越える力」が現代にとても大切であることも訴えていた。

神戸大学医学部の同級生だった山中伸弥教授と成田奈緒子さん 写真提供/成田奈緒子

そんな成田さんの最新刊『高学歴親という病』は、「レジリエンス」を育てるために、時に障壁となってしまうこともある「親の病」について綴った書籍だ。高学歴の親が「子どものため」にと起こす行動が与える深刻な影響を伝え、前著とともに、企画・構成をジャーナリストの島沢優子さんが担当している。本書より何回かにわたり抜粋掲載する第1回は、島沢さんも綴っていた「オレオレ詐欺」というジェンダーに特化した詐欺が起こりうる背景を探る。

 

オレオレ詐欺に騙される親子の特徴

「振り込め詐欺(オレオレ詐欺)の実態と予防策について」

そんな特集のテレビ番組を、大学生の娘と観ました。警察が取り締まりに力を入れているけれど、近頃はいっそう巧妙になってきていました。詳しい個人情報を入手したうえで電話をかけてくるので、つい騙されてしまうようです。実際に被害に遭われた方が出演なさっていたのですが、その再現ビデオに私たちは顔を見合わせました。

高齢女性のもとに息子さんをかたる男から電話がかかってきました。最初はただの雑談だけで終わらせ、信用させたうえ、2回目の電話でお金を請求されたそうです。
「オレだけど、仕事でお客さんに損失を出させてしまった。今日中に80万円補填しなければ、大変なことになってしまう」

それを聞いた親御さんは、疑いもせずに急いで言われた口座に80万円振り込みました。
「そのときの心境は?」

インタビュアーの質問に、女性とその夫は口を揃えてこう言いました。
副支店長になるまで一生懸命頑張ってきた息子が、こんなことで支店長の座につけなくなったらかわいそうだと思った。もう無我夢中でした」

銀行の副支店長であれば、すでに40代は超えています。そんないい大人の息子に「ミスしちゃったの? かわいそう!」と80万円もポンと出すなんて。

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