カネボウ破綻から大復活…!クラシエ・岩倉昌弘社長が語る「失敗の教訓」と『クレイジー・クラシエ』の真意
100年以上の歴史を誇り日本を代表する企業だった『カネボウ』は、2004年に経営破綻した。産業再生機構やファンドがスポンサーとなり、2007年には『クラシエ』と社名を変更して生まれ変わった。
現在はヘアカラー最大手のホーユーの傘下にあるクラシエは、シャンプー・ボディソープなどの日用品、漢方薬を中心とした薬品、菓子・アイスなどのフーズ(食品)事業を展開している。2021年12月期のグループ売上高は944億円、営業利益は91億円、グループ従業員数は1738名(2021年12月末時点)となっている。
<【前編】『クラシエ』の社長が赤裸々に語る、旧カネボウで見た「破綻の瞬間」…直前まで何も知らされていなかった>ではクラシエホールディングスの岩倉昌弘社長に、破綻の原因と再生のきっかけについて聞いたが、本稿では今後のクラシエの更なる発展のキーワードとなる企業ビジョン『クレイジー・クラシエ』の真意について聞く。
破綻を包み隠さない社風
新しい社名の『クラシエ』は全社員のアンケートを基に決められた。クラシエという名前には『四季の変化や日々の生活の中で、当社グループ製品を通じてお客様の心を晴れにする。そんな健やかで快適な楽しい「暮らしへ」』という全社員の願いが込められている。
2017年には創立10周年で社史が発行された。その冒頭には経営理念である『しるし』が書かれている。それを見ると、『人を想いつづける』『こころ』『ありがとう』『たいせつ』など心優しい言葉が数多く使われていることがとても印象に残る。

「我々破綻した企業が再生過程でいろんなものを貰っていると。それがその言葉だったと思う。
要は理屈抜きで助けて貰った会社もいっぱいあるし、本当は当然カネボウに残りたかった、クラシエに残りたかったという、そういう人の想いも受けているので、それはたぶん必然的に出てくる言葉になっている様な気がします。
色んな言葉で『これをやっとけば、会社は絶対変なことにならないよね』という集大成がこれなんですよ。要はカネボウの一番の良さは何かというと、やっぱり人には優しい会社だったんですね。そのいいところをちゃんと引き継ごうということで、ど真ん中に『人を想いつづける』ということにしたのです」