2023.01.24

カネボウ破綻から大復活…!クラシエ・岩倉昌弘社長が語る「失敗の教訓」と『クレイジー・クラシエ』の真意

春川 正明 プロフィール

そしてもう一つ、この10周年の社史を見て驚いたのは、全体の約3分の1の分量を割いて、カネボウの破綻について包み隠さず書かれていることだ。その章の冒頭にはこう書かれている。

「過去の経営の否定」というキーワードで評されることもある。しかし、新経営陣や改革に取り組んだ社員も、以前は、不全な経営に対して戦うことのない、もの言わぬ従順な会社員だった。組織の一員として経営陣の指示に従うことは仕方ない面はあったが、私たち一人ひとりのその姿勢が、自浄の力を削いだことも認めねばならない

「10年間やってきたことは残そうと。『前史』という言い方をして、破綻の歴史を残そうとしたんですよ。その理由は、いずれ破綻経験者がいなくなるでしょう。でも、なんで破綻したか残さないと、これが我々の一番の財産だという位置づけなんですよ。克明に書いている。本当に社員の声をそのまま文字に起こしたというか」

社史「クラシエ10年の歩み」より社史「クラシエ10年の歩み」より
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社史の全社員アンケートの中にある「当時、いちばん辛かったことは何ですか?」という質問には、以下のような社員たちの生の声が数多く載っている。

『「粉飾」=「嘘をつく会社」と見られ信用を失ったこと。国の税金を使ってテレビCMを入れていいのかと言われた。悔しかった。そんな中で取引先の半数以上は頑張れと応援してくれた。勇気をもらえた。その恩返しを今でもしなければと考えて行動しています』
『お客様に「クラシエです」と電話すると、テレアポと思われて、「間に合っています」とガチャンと切られた。その直後に「カネボウです」と電話すると、まったく同じ人が出たが、「あぁ、これはカネボウさん、いつもお世話になっています」と。社名一つで大きく態度が変わることに衝撃を受けるとともに、クラシエの社名は汚さぬよう仕事に取り組まねばと強く意識づけられました』

その社員アンケートの中で、『辛かった経験が、今の成長に結びついていると思いますか?』という質問に対して、『非常に結びついている18.5%』『結びついている50.7%』との回答が寄せられている。

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