<【前編】「私はこんなに気にかけている」と子どもに干渉する親が、実は子どもの未来をいちばんダメにする>より引き続き実例紹介。
「かっこつけ」ゆえに矛盾する高学歴親
偏差値65以上の中高一貫女子校に入った12歳の女子生徒が不登校になりました。学校に行こうと用意しはじめたとたん頭痛と吐き気がしてしまう。起立性調節障害と診断されました。
娘のピンチにも、母親のメグミさんは笑顔を浮かべていました。

「私は本当に娘の体さえ良くなってくれればいいんです。学校に行かなくてもいい。学校を辞めさせてもいいと思っています」
でも、体調さえ良くなればと言う割には、「この子は英語が苦手なので、英語だけは遅れては大変なんです。だから、英語がある日だけは私が車で学校に送っていってます」と言います。メグミさんが学校に執着しているのは明白ですが、高学歴親は自分の野心をあからさまにすることを良しとしません。
ある日、学校で体育祭がありました。そのころには女子生徒は生活習慣の改善とともに、遅刻しながらも自力で通学できることが多くなっていました。自信が生まれたようで「体育祭には絶対に出たい。自分の体をちゃんと当日まで整えて今日は行けそうだと思ったら自分の意思で行きます」と意気込んでいました。
一方でメグミさんは「体育祭に出たりするとまた倒れたりしてそのあと学校に行けなくなるのではないでしょうか。周りのお子さんにも迷惑だし、私が先生にこっそり頼んで休ませてもらったほうがいいでしょうか」と言い出すわけです。
そこで私からメグミさんへのお説教が始まります。
本人がどうしても行きたいから何とかそれまでに調整すると言ってますよね。お母さんはそこを信頼すればいいだけのことです。もし気分が悪くなれば友達に「私ちょっと具合悪いから休ませてもらっていい?」と言えばいい。自分で決めたことなら、たとえ失敗してもそのあと自分で立ち直れます。
そう伝えると「そうですね」とうなずいてくれました。
親は不安だから子どもに干渉します。不安の元は人によりますが、一般的には「他の子と、みんなと同じであってほしい」という願望が見え隠れします。もう少し上を目指す人は「他の人よりも良くしたい」。それはたとえば学歴であったり、職業であったり。もしくは、スポーツで全国大会に行ったとか、大会で優勝したといった成果です。他の子よりも上に行かせたいという虚栄心が顕著です。