2023.01.26
偏差値が足りないと鉄パイプで殴打され…58歳母を殺害した「医学部9浪」の娘が明かす、母親からの常軌を逸した「受験過干渉」
2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物ものかさえ判別が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。
女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。
警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか――。
獄中の娘と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、驚異のノンフィクション。
偏差値10ポイント分のお仕置き
高校三年の秋になると、校内は急速に受験ムードが深まっていく。
「ダメなら浪人かなあ」
「へえ。うちは現役じゃないとだめって親がうるさくて」
廊下を歩いていると、すれ違いざまにそんな会話をよく耳にするようになった。
予備校の模試を何度か受け、合格可能性を探る。あかりの偏差値は58で、学部を選ばなければ十分国公立大に合格を望めるレベルだったが、志望校である滋賀医科大医学部医学科の偏差値は68で、合格可能性は「D」と判定された。
不足している偏差値は10。母からは、その分だけ、「罰」が与えられた。