2023.01.27
「医学部合格」「最低でも京大」58歳母をバラバラ死体にした30代娘を追い詰めた母親の「異常な過干渉」とその末路
2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物ものかさえ判別が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。
女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。
警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか――。
獄中の娘と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、驚異のノンフィクション。
母から逃げたかった
カンニング事件もあり、あかりに対する教師の評価は芳しいものではなかった。各教科の内申点も足りなかったため、推薦入学での進学は絶望的だった。
三者面談での担任教師に怒り心頭だった母は、「一般入試で合格して教師の鼻をあかせ!」と厳命していたが、あかりは母が言うように地元の滋賀医科大に進学することにはどうしても抵抗があった。
母から逃げたかったからである。
母は守山の自宅から通学できる大学に進むことを強く要求していたが、あかりはなんとかして、母から離れようと願っていた。そこで考えたのが、静岡・浜松にある浜松医科大学だった。
浜松医大も国立の超難関校で、推薦での合格枠はわずか25名。推薦入試に出願できるのはひとつの高校から4人以内と定められていたが、あかりの評価点は、推薦入試の願書を提出するために必要な最低ラインをぎりぎりでクリアしていた。