当然だが、筆者はそんな下衆な話をするつもりはない。
筆者が考える理事長の役得とは、管理組合役員、中でも理事長をやらなければ得難い「情報」を容易に得られるようになることである。株や経済の表現を借りれば、自分が住んでいる物件の、いわばインサイダー情報を容易に知ることができるようになることだ。
というのも、管理組合役員、中でも理事長になると、とにかく日々の様々な情報が管理会社から報告されるようになるからだ。もちろん、聞いてうれしい情報なんてほとんどなく、何かが壊れただの、住民トラブルだの、困った話ばかりである。特定の住戸をめぐるトラブルなど個人情報に関わる話は、理事長だけにこっそり耳打ちされるようなケースが少なくない。

読者諸氏は、そんな情報にいったいどんな価値があるのか、と思うかもしれない。それこそが冒頭で発想の転換と書いた理由なのだが、そういった情報は、見方を変えると宝の山ではないだろうか?
たとえば、騒音をはじめとする住民トラブルの情報が入ってきたとしよう。あるいは、管理費などの滞納、消防設備点検の未実施の状況などが報告されたとしよう。嫌な言い方だが、こうした情報から、マンション住民の生活態度や民度が自然に分かってしまう。