筆者にはそうした体験があるため、特に、今住んでいる分譲マンションを永住前提で考えている人にこそ、管理組合業務が少なく、理事長をやっても比較的楽な年(詳細は前編参照)に、ぜひ一度理事長を経験してみてほしいと思う。
役員になる前も、日ごろから管理会社のスタッフと仲良くしておけば、楽な年がいつなのかを前もって教えてもらうことも可能だ。そして、あえて輪番制を崩して、特定の年に役員に立候補し、理事長にも手を挙げるのだ。

「第三者管理方式」は神の降臨か、それとも…?
ところで最近、区分所有者が集まって管理組合の理事会を構成するかわりに、管理会社自体に理事長を任せてしまう、第三者管理方式というものが注目を浴びているのをご存じだろうか。要するに管理組合業務の丸投げだが、区分所有者の理事会出席という負担をなくすという絶大なメリットがあることから、高齢化などで理事のなり手がいないマンションの問題解決の切り札として取りざたされることが増えてきた。
この方式になると、極端な話、年1回の総会以外、区分所有者はマンション管理に関わることがほぼなくなるし、その分、ここまで話題にしてきたようなインサイダー情報に触れる機会も激減する。もちろんあなたが高齢世帯であるなどの理由で、転居のハードルが高いこともあって、そのマンションに永住するつもりなら、この方が好都合だろう。
しかし、そうではない世帯にとって、人生は長い。社会経済や家族生活など、様々な状況変化がありうる中で、現住しているマンションへの永住に凝り固まってしまうのは、高いリスクをとっているといえないだろうか。