ネズミは船が沈む前にさっさと逃げ出す、という話ではないが、どんなに気に入っているマンションに住んでいようとも、必要があればいつでもマンションを処分して引っ越せる余地を残しておいた方がよいし、そのための情報収集は怠るべきではない。
筆者自身、かつては永住派だったことへの反省もあって、今は強くそう思っている。
ネズミの嗅覚よろしく、マンションの将来性(いずれ来る売り時)を見極めるための情報というのは、一般のマンション住民では簡単には気づけないものだし、売買時の重要事項説明に書けるほど明確に言語化できる内容であるとも限らない。
実は住民がそろって高齢化している、といった話がまさにそうであり、理事長としてアンテナを張っているからこそ、断片的な情報をつなぎ合わせてキャッチできるかもしれないものだ。第三者管理方式に切り替わり、情報収集の機会が激減したら、そうした情報を入手することは困難になってしまう。
もちろん、今後あなたが現在のマンションに住み続けるか、手放すかは、あくまで結果論だ。しかし、安易に第三者管理方式に流れるのではなく、自ら進んで理事長に手を挙げることも、決して捨てたものではないのである。