2023.01.31
# ビジネス

30歳営業マンが絶句…「ヤバすぎる退職勧奨」は正当なのか、それとも違法か?

解雇ではなく退職勧奨にするワケ

「会社を辞めてもらえないか?」。突然の退職勧奨を受けたとき、冷静でいられる人は少ないだろう。しかも、その勧奨がパワハラまがいの違法性の高いものだとしたらーー。

甲社の営業部に勤務するA原さん(30歳、仮名=以下同)もまさにそんな退職勧奨を受けた一人。成績不振を理由にB上営業部長から退職を促され、それを断ると、C山営業課長や、さらには専務、社長も加わり恫喝まがいの物言いで退職合意書へのサインを迫られた様子は前編記事でお伝えした。

本稿では、混同されがちな「退職勧奨」と「解雇」の違いから、退職勧奨をするときのポイントなどを社会保険労務士の木村政美氏が解説する。

似ているようで異なる「2つの制度」

・退職勧奨と解雇の違い

【退職勧奨】

退職勧奨とは、会社が従業員に対して退職を勧めることで、一般的には「肩たたき」とも言われている。退職勧奨に応じるか否かの選択権は労働者側にあり、労働者が同意すれば会社都合での退職扱いになる。

会社都合で退職する場合、退職者が雇用保険の被保険者であれば、基本手当(失業手当)を受けることができる。自己都合退職でも基本手当の受給はできるが、支給開始までの期間(待期期間)、受給要件、給付日数に違いがある(参考:雇用保険手続きのご案内 ハローワークインターネットサービス

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【解雇】

解雇とは、労働者の同意なく、企業側からの一方的な意思表示によって雇用契約を終了させることをいい、おもに3つの種類がある。

(1) 懲戒解雇……懲戒とは、企業が就業規則違反などをした労働者に対して行う制裁のことをいい、懲戒解雇は制裁(労働関係上の不利益措置のこと)として労働者を解雇することである

(2) 整理解雇……企業の経営悪化により、人員整理を行うための解雇のこと

(3) 普通解雇……懲戒解雇・整理解雇以外の理由で労働者を解雇する場合をいう

普通解雇の理由は就業規則で定めるが、おもに勤務状態不良によるもの、(欠勤・早退・遅刻が多い)、休職期間満了によるもの、能力不足によるものなどがある。

・退職勧奨はどのような場合に行われるか

企業が労働者に対して退職勧奨を行う場合、以下の理由が考えられる。

(1) 経営不振により人員削減をする必要がある場合

(2) 定年前に退職勧奨を行う場合

人件費削減や企業組織の再構築などの目的で、定年前の高齢者を対象に退職を勧める。

(3) 労働者の能力不足や勤務成績不良が著しい場合

解雇扱いにはしたくないが、このまま雇用を継続するのは難しいと会社が判断した場合に退職勧奨が行なわれるケースが多い。

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