「わが子が不利にならないように」――高学歴親が子どもに与える「転ばぬ先の杖」こそが子どもの未来をダメにする

高学歴親という病(3)前編

「子どもが不利にならないよう」担任に頼み込む

とはいえ、こういったわが子を溺愛するがゆえの先回りは、他の高学歴親にも見られます。

小学校で、高学歴のお母さんが「うちの子が不利な立ち位置になってしまう」といった見通しを立てると、担任の先生に何かと口出しをしてしまうと聞きます。

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たとえば、運動会で高学年は組体操をします。すると、わが子がペアを組む子どもについて「あの子はよく文句を言うから、別な子と組ませてほしい」と先生に頼み込むのです。

先生は「そんなことに口を出さないでほしい」と思うのですが、医師や弁護士、大企業の社員などエリートと呼ばれるような親だったりすると、無下に断れません。

弁が立つ親たちなので、彼らの要望を断ったうえで万が一不具合が起きると「それ見たことか」とクレームの嵐になることが予想されるからです。

それでいざ、配慮してペアを替えてしまうと、その反動は子どもに表れます。

親が口出ししたことを察した子どもたちから、わが子が責められたりします。

最も傷つき、嫌な思いをさせられるのは子どもなのです。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大