コロナ禍以降、巨額の横領事件の報道が目立つ。先日2023年1月18日、バンダイナムコホールディングスが、約6億円着服していた社員を相手取り、東京地裁に民事訴訟を起こす。この社員は社用スマホ4000台、つまり会社の備品を無断売却し、利益を着服したのだ。

令和4年版 犯罪白書』(2022年・法務省)の「財産犯被害額」を見ても、2016年以降は、約60~80億円で推移しているが、コロナ禍の2020年には約113億円に増加。2021年には75億円だった。
推測だが、コロナで経済活動が止まり、各法人がそれまで放置していた不正を精査したのではないか。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「浮気調査をしたら犯罪に近いことをしていたケースは多々あります」と語る。
彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。

今回山村さんのところに相談にきたのは、実母に伴われてやってきた専業主婦の麻子さん(41歳)だ。「主人が外泊する日が増えました。生活費は毎月30万円くれますし、子供も1歳半と6カ月で、真面目な人だから女にはまっていないか心配です」と切り出した。
この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。

山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
山村佳子さん連載「探偵が見た家族の肖像」これまでの記事はこちら
 

40代2児の母が、60代の実母に伴われて…

依頼者・麻子さんは、母に伴われて私たちの事務所に来ました。母は60代後半で、セットした髪に黄色のツーピースという「きちんと」した服をしています。麻子さんもロングヘアにチェックのワンピースと、41歳で2児の母と思えないくらい若々しく優しい雰囲気。

キャリアを伺うと「短大卒業後、食品メーカーに5年間勤務していたのですが、人間関係に疲れて辞め、以降父の会社を手伝っています。結婚してからは専業主婦です」と語っていました。

経済的な苦労から遠く、おっとりと育てられた麻子さんも、このところの心労がたたったのか、かなりやつれていました。

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母が「この子がもたもたしているので、私が連絡しました。私が紹介した人と結婚すればこんなことにならなかったのに! 子供もポコポコ産んで、あなたいったいどうするのよ!」とかなりきつい口調です。

私が「まずはお話を伺いましょうか」と麻子さんに話しかけると、泣き出してしまいました。おそらく、母からの圧力と夫の不在、2歳と1歳の子の子育てがのしかかり、いっぱいいっぱいになっているのでしょう。

母は麻子さんの夫(34歳)が納得いかないようで、学歴や国籍についての差別用語を連発していました。