2023.01.23

増税でも財源確保にまだ足りない?財務省は不合理な債務償還ルールを撤廃するのが先だ

髙橋 洋一 プロフィール

60年を80年ルールにするだけで3.6兆円

となると、税外収入からなる防衛力強化資金をどのように確保するかが、防衛増税のポイントになる。

まず、目先の2023年度予算の防衛力強化のために税外収入がどうなるか。外為特会(外国為替資金特別会計)からの繰入金3.1兆円程度、財投特会からの繰入0.6兆円程度、新型コロナ関連の国庫返納0.2兆円程度、緊急小口資金等の特例貸付国庫返納0.1兆円程度、大手町プレイス売却収入0.4兆円程度の計4.6兆円程度だ。これに歳出改革0.2兆円程度を加えて4.8兆円程度とし、防衛力整備計画の増加額に1.4兆円、防衛力強化資金への繰入に3.4兆円程度とするのが、2023年度予算である。2023年度では防衛増税はまだ実施されないので、税外収入でやり繰りする。

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2024年度から防衛増税になる予定だが、歳出改革等が予定通り行かないなどの理由を財務省なら簡単に見つけられる。その場合、4年間で3.1~6.0兆円程度の増税になる。

 

この増税をぶっ飛ばす最善手は、60年償還ルールを廃止し、2023年度予算にある債務償還費相当分16.4兆円を国債整理基金特別会計ではなく、防衛力強化資金へ繰り入れることだ。そのためには、繰入停止の特例法と予算組み換えが必要だ。なお、23年度当初予算でなく24年度までに行ってもいい。

もっとも、60年償還ルールを例えば80年償還ルールと見直すとどうなるか。一般会計から国債整理基金特別会計への繰入は、

国債残高×(1/60)=国債残高×1.6%
から
国債残高×(1/80)=国債残高×1.25%

になるので、繰入額は16.4兆円から12.8兆円となり、3.6兆円程度余裕ができ、これを防衛力強化資金に繰り入れられる。

もちろん、歳出改革などがすべて予定通りうまく行けば、ギリギリ増税を避けられるが、そうでないと、増税が復活することになる。となると、2023年度の債務償還費16.4兆円を防衛力強化資金で繰りいれるという最善手が望ましい。しかも、この手は、先週の本コラムに書いたように、過去に11回も前例もある話だ。

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