27歳で外資系航空会社のCAになり、世界各国をフライトしながら、ドバイ暮らしも経験。その後、さまざま職を経て、35歳でお笑い芸人の道へ進みCRAZY COCOとしてデビュー。CA時代の経験を活かした“あるあるネタ”で早くもブレイクの兆しを見せているものの、大胆な転職に迷いはなかったのか? ネタのクオリティだけでなく、アグレッシブな生き様も同性から支持されているエンターテイナーの人生観にフォーカスする。
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「悔いが残らない生き方を」コロナ禍で決意
2021年9月、CRAZY COCOは新型コロナウイルスに感染して2週間入院。そこで命と向き合ったことが転職を考えるきっかけになった。
「私が2歳の頃に父親がALS(筋萎縮性側索硬化症)を煩い、14歳の頃に亡くなったんですよ。母親も脳腫瘍や胃がんと戦ってきたので、『大切な人を急に失うことがある』ことは分かっていたのですが、いざコロナで自分が入院してみると、リアルに“死”を身近に感じて怖くなってしまって。運良く重症化せずに退院することができたのですが、友だちの後輩の女の子は、私と同じタイミングでコロナになって亡くなってしまったそうです。それを聞いて、私もそうなっていた可能性があると思って……。いろんな気持ちが重なり、『今のままじゃダメだ。悔いが残らない生き方をしよう』と決意しました」

もともとサービス精神旺盛で、人を楽しませることが好きなタイプ。自分のSNSを振り返ると、文化祭の出し物や女子会で爆笑をかっさらってきた記録があった。大阪の有名な結婚式場で友人から余興を任されたときは、プランナーから「過去イチのクオリティでした」と絶賛されたこともある。当時は外国人の就労サポートの仕事をしていたものの、「本当にやりたいこと」は明確だった。
「入院して一週間ぐらいで熱が下がったんですけど、そこから時間を持て余して Netflix や YouTubeやお笑い番組を見漁ったんですよ。それで気持ちが救われましたし、やっぱり私もエンタメの世界で人をポジティブな気分にさせる仕事がしたいんだなと。クラスメイトや同僚を笑わせることが好きだったことを思い出して、ようやく点と点が重なって線になった感じでしたね」
35歳、独身。新たな夢を追いかける情熱はあったが、未経験の分野に挑戦することで収入がゼロになる恐怖にも直面した。