信州大学特任教授であり、法学博士・ニューヨーク州弁護士である山口真由さん。東大卒の才女として様々なメディアで活躍するが、Twitterでのつぶやきはコミカルで飾らないものが多い。そんな意外な「素顔」を率直に綴っていただく本連載。
今回は、先日終わった“大学入学共通テスト”が新聞に掲載されていたのを機に振り返った、自身のセンター試験(かつての大学入学共通テストにあたるもの)について。試験終了間際に解答用紙を見直した山口さんが、最後の最後に「頭が真っ白」になってしまった出来事とはー。山口さんから受験生に送るエール、ぜひご一読ください。
センター本番で起きた、想定外のミス
新聞をパラパラとめくる手が止まる。なかほどのページを大きく割いて、大学入学共通テストの問題と答えが載っていたのだ。小さな文字と長い文章、そこここに散りばめられる図表の数々は、いつも私をあの当時へと引き戻す。
大学入学共通テストに変更される前には「センター試験」と呼ばれていた。その試験の最中に私はパニックに陥りかけたのだ。最大の緊張を強いられる数学の試験で、
あのままほとんど零点の答案を提出するか、起死回生のリカバリーを試みるか。この岐路を分けたのは自分自身に対する信頼だったと思う。
年が明けると受験生の緊張はピークへと近づいていくといわれるが、当時の私はむしろ穏やかになっていった。いまからあれもこれもと新しい問題集に手を出すべきではない。この1年一緒に伴走してくれた顔なじみの参考書をもうひとさらいしよう。

第一志望だった国立大学では、センター試験の配点はさほど高くない。だが、滑り止めと思っている私立に合わせた勉強をする余裕がなかったため、「センター試験利用入試」という方式で出願していた。これはセンターの点数と面接で合否が決まる。面接の優劣なんてほぼないだろうから、センターの点数一本と思った方がよい。だから、センター試験は私にとって重要だった。
年明けからは国立大学の記述式問題はひとまず置いておいて、センター試験対策に集中した。多くの現役受験生にとってセンター試験こそが最初の“本番”になる。何度も模試を経験して形式には慣れたとしても、一発勝負のプレッシャーというのは訓練できるものじゃない。