ましてや現在(2018年)は、胡錦濤時代の経済の勢いとは、較ぶべくもない。おそらく半数近くの大学卒業生が、自分が望むような「崗位」(職場)を得ていないのではないか。
バイトをする大卒の青年
2016年の暮れに北京へ行った時、セブンイレブンでレジに立っている青年に聞いたら、大学を出ても就職先がなくて、一時的にバイトしていると答えた。胡錦濤時代には考えられないことだった。
週に一度、教壇に立っている東京の明治大学でも、50人ほどの中国人留学生を教えているが、彼らも日本国内で就職先を探そうとする傾向が強まっている。胡錦濤政権の頃は、帰国組が大半を占めていたものだ。
また、北京の重点大学(全国に99校ある名門大学)の経済学部を2016年夏に卒業し、ある大手国有メディアに就職した知人の記者も、次のように語る。
「重点大学の学生は、何とかそれなりに就職できているが、そうでない大学の学生は大変だ。卒業しても無職だと親の体面もあるので、わざと単位を落として留年したり、大学院に進学したり、海外に留学したりする。または大学側の体面で、就職にあぶれた学生を、そのように仕向けることもある」
ただし、学生の側に、それほど大きな危機感はないという。
「われわれの世代は、親がマンションと車を持っているので、無職になったからといってすぐさま生活に困るわけではない。実際、私は大学を卒業して2年近くが経ったが、すでに同級生の半数近くが職を変えているし、家でブラブラしている人もいる」