『にこたま』そして『1122(いいふうふ)』で、現代に生きる夫婦のあり方を問い続け、多くの支持を受けて来た渡辺ペコさん。最新作『恋じゃねえから』(モーニング・ツーWEBにて連載中)もまた、今私たちが生きる日々と直結する「創作と性加害をめぐる問題作」(帯より)だ。最新2巻が発売されたのを記念して、渡辺ペコさんと、漫画家のよしながふみさんの対談を敢行。
よしながさんが本作同様「シスターフッド」について『環と周』(『ココハナ』で連載中)で描いたことから、友情について、誰かを大切に思う気持ちについて掘り下げるとともに、「創作」という行為のはらむ「恐ろしさ」について、さらにそれぞれの創作方法の違いも語られる。創作者として活躍し続ける2人ならではの濃密な対話をお届けする。
前編【渡辺ペコ×よしながふみ 恋愛は難しい…恋愛ではない「好き」を描くということ】から続く、中編です。

取材・文 門倉紫麻
容姿の端麗さと滑稽さを結びつけて出す
渡辺ペコ(以下、渡辺):先ほど、有功(編集部注:本記事・前編で語られた、よしながさんの作品『大奥』の登場人物)を美しく描いたというお話を聞いて、マンガの中での顔の描写、容姿というのはやっぱり大事なんだなと思いました。
よしながふみ(以下、よしなが):『大奥』なんてまさに見掛けがめちゃくちゃ重要な世界ですしね。
渡辺:ほかの作品にも、容姿についてのことはたまに出てきていますね。
よしなが:そうか、『愛すべき娘たち』もそういうお話ですもんね。個人としては、容姿はどうでもいいと思っているし、物語の力学として重要だとも思っていないんですけど……。

渡辺:容姿端麗な方が多く出てきますが、それは「好み」とは違うんですか。
よしなが:違いますね。容姿端麗だとしても、割といつも残念なんですよね(笑)。美しさが良い方に働かないという話が多いと思います。リアルの世界でも美しければ美しいで、みなさんご苦労なさっているじゃないですか、男女とも。なのでシロさん(編集部注:よしながさんの作品『きのう何食べた?』の登場人物)みたいに、ゲイだけどゲイにはモテない美しさであるせいで、自信にもつながらない、とかある種の滑稽さと結び付けて出すことが多いかもしれないです。
